急曲線用特殊継手

急曲線推進において、アルティミット工法ではセンプラカーブシステムを使用することによって、掘進機が造成した急曲線のトンネル孔に、推進管が追随していきます。
しかし、超急曲線の場合には、管の継手部の屈曲が大きくなり、継手部の止水性が確保できなかったり、継手部の大きな屈曲により曲線外側へのせり出しが発生しやすくなるという問題がありました。
急曲線推進用特殊継手は推進管継手部に設置することにより、継手部の開口箇所を2箇所にし、通常の管開口長の1/2の開口長とすることができます。これにより、小さな屈曲での超急曲線の形成を可能にし、かつ特殊管ではなく推進用ヒューム管で安全に曲線施工ができるようにしました。

急曲線用特殊継手の特長

  1. ヒューム管で安全に急曲線推進が可能
    曲線区間の推進用ヒューム管の管継手部に特殊継手を配置することによって、屈曲部が2箇所になり安全な開口長で急曲線の形成ができる。
  2. 推進管にかかる地盤反力を低減
    急曲線でも継手部の屈曲を小さくでき、曲線外側の地盤反力を小さくできるとともに、特殊継手が反力を受け持つことによって、管への影響を小さくすることができる。
  3. 超急曲線施工も可能
    1箇所の継手部に、特殊継手を複数個設置することによって、より超急曲線の推進施工にも対応できます。
  4. 継手部の止水性を確保
    ヒューム管の継手部と同等の水密性能を確保できます。
  5. 選択が自由
    本管用、鞘管用と、目的に応じて継手を自由に選択使用できます。

 (S:開口長)

特殊継手未使用時 ▶ 特殊継手使用時

管種別施工可能曲線半径

下水道推進工法用鉄筋コンクリートおよび特殊継手を使用した場合の推進管の施工可能曲線半径

  • 下表はJSWAS A-2規格内の継手構造に基づきます。
  • 曲線内部の目地開口長 S4=5mmとして計算しています。
  • 特殊継手の有効長は180mmで計算しています。
  • JSWAS A-2規格の継手開口長以上の急曲線を下記の方法を検討します。
    1. 急曲線用特殊継手の併用
    2. 急曲線用合成鋼管(短尺管)の使用
  • 推力伝達用クッション材にはセンプラリングを使用します。
  • 特別高水圧(0.2Mpa以上)下での曲線施工および短尺合成鋼管を使用する急曲線施工においては、推進管継手部の開口を制御する「アルティミット工法用開口制御装置」を使用します。
曲線半径R:(m)
呼び径

推進管
継手
形式
80090010001100120013501500 
推進標準管
(L=2.43m)
JA94106118128140157174 
JC43495459647280 
推進管半管
(L=1.20m)
JA47535964707887 
JC22252730323640 
推進管1/3管
(L=0.8m)
JA32363943475258 
JC15171920222527 
推進管半管

特殊継手
JA27313437414551 
JC13151618192124 
推進管1/3管

特殊継手
JA20222527293336 
JC10111213141617 
呼び径

推進管
継手
形式
16501800200022002400260028003000
推進標準管
(L=2.43m)
JA191208230253275298320342
JC8895106116126136147157
推進管半管
(L=1.20m)
JA95103114126137148159170
JC4448535863687379
推進管1/3管
(L=0.8m)
JA646977849299107114
JC3032363943465053
推進管半管

特殊継手
JA5560677379869299
JC2628313437404346
推進管1/3管

特殊継手
JA4043485257626671
JC1920232527293133

急曲線造成システム

急曲線推進においては、急曲線を造成できる掘進機とともに推進管列が所定の曲線を保持しながら推進力を伝達できることが必須です。
従来の方向制御ジャッキに加えてその後方に複数ヶ所の曲線造成補助ジャッキを設置し、これらのジャッキを伸縮させることで掘進機を自在に曲げ、急曲線推進の施工を可能にします

センプラカーブシステム

推進管接続部毎に塑性領域の広い推力伝達材(センプラリング)を設置することで、急曲線でも高い追随性を有するとともに、管の破損を防止します。
また、この技術は(財)下水道新技術推進機構で新技術として認められ(1994年)下水道技術・技術審査証明を取得しています。

センプラカーブシステムの特長

  1. 掘進機の追随性の向上
    曲線区間でも、推進管は掘進機の軌跡に高い追随性を有します。
  2. 管端部の破損防止
    曲線区間でも、隣接する推進管が接触せず、管端部に破損が生じません。
  3. 目地開口調整が不要
    センプラリングは容易に設置でき、設置後の目地の開口調整作業は必要ありません。

センプラリングの設計フロー