潮位差の激しい地層における推進
アルティミット泥水-錦下水工事は海岸から900m、鮫も泳いでいたと言われる鮫川河川敷より50mと近接した現場での施工でした。 潮の満ち干きで地下水位と水圧が変化し、干潮の時間帯は逸泥も甚だしく大きく、調整槽が空になることもありました。
海岸特有の泥岩層で凹凸が激しく、そのあいだに貝殻混じりの細砂、ところどころに流木等が混っている礫泥細砂と変化にとんだ土貿でした。
立坑からの排水を見ると塩分・鉄分共に多いようで滑材が塩分によりアルカリ反応を起し分解し効果が期待できないことも考えられました。
長距離スパンL173m間は中間立坑(φ2000mmケコム、推進通過立坑)までは泥岩・礫泥細砂・流木といった土質でしたが時には毎分6~10cmと意外にスムーズに推進できました。
中間(通過)立坑では補足注入しても浜特有の細砂が吹き出し苦慮しました。原因はケコムのファストケーシングの表面が滑らかなため坑口部周辺から潮位の変化と共に外部へ薬液が流れ込むのではないかと思われました。
このためゲルタイムを2~3秒と短くしましたが期待した効果は得られませんでした。
結果として中間立坑を通過するのに1週間も費やしました。
この地区では大手業者の施工で、前年度・前々年度にわたり立坑築造の際にボイリング現象が発生し、立坑を水没させて約40日間かけて、底盤改良のやり直しを行い、 また鋼矢板長さより深い位置に薬注を実施したといわき市の担当監督官からお聞きしました。
中間立坑通過まもなくローリングし始めました。位置を確認したところφ800mmの水道管の真下でした。
水道管の基礎杭とも考え、いわき市水道局の要請のもと試掘調査を開始しましたが基礎杭もなく、水道局の立会を得ながらローリングを直し、水道管位置を通過させました。
自動滑材装置を使用しましたが、朝方の推進開始時は約200tもかかり一時は止ってしまうかと思いました。掘進中は平均60tの推力に底下し安定しますが このような状況では2、3日休むと押すことが出来ないと考え、休まずに推進しました。 このことは塩分・鉄分が多く潮位の変化が激しい地層における推進の検討課題として残りました。