荘園配水池耐震補強工事施工報告
はじめに
荘園配水池は、別府市水道施設として昭和49年に完成し半世紀近く経過しており、経年劣化による改修工事とともに、震災時の水道供給施設の確保のための耐震補強を実施しました。
工事概要
工事名 | 荘園配水池耐震補強工事 | |
発注者 | 別府市上下水道局(令和2年4月1日改変) | |
請負者 | 機動建設工業株式会社 | |
工期 | 令和元年7月30日~令和2年3月13日 | |
工事場所 | 大分県別府市大字鶴見字松岡4046番地1 | |
工事内容 | 土工事 | 掘削 290m3 埋戻 200m3 |
側壁増厚工事 | 高さ 3.85m 厚さ 300㎜ | |
PC工事 | SUPROアンボンドPC鋼より線1S19.3 3段 ピラスター箇所6カ所 | |
防水工事 | 屋上塗膜防水(密着工法)721 m2 | |
塗装工事 | 複層塗材RE 637m2 | |
付帯設備工事 | 外部螺旋階段1基・人孔蓋1基・歩廊防止柵73m・避雷針1基 | |
場内整備工事 | 舗装 476m2・嵩上擁壁8 m・小口止め2か所 |
図-1 荘園配水池位置図
- 屋根外装補修
防水モルタル撤去・復旧(うき変状部)
下地処理(サンダーケレン)
ひび割れ補修(注入工、充填工)
下地調整材塗布(合成樹脂エマルション系)
防水塗装(ウレタンゴム系塗膜防水種別X-2(密着工法))※トップコート防滑仕上げ - 外壁外装補修
下地処理(サンダーケレン)
ひび割れ補修(注入工、充填工)
鉄筋露出部補修(断面修復工)
下地調整材塗布(合成樹脂エマルション系)
塗装(複層塗材RE仕上(水系エポキシ)凹凸状仕上げ) - 側壁増厚
既設保護コンクリート撤去(t=150㎜)
増厚部コンクリートチッピング(t=1~2㎝)
PC鋼材(2重アンボンドPC鋼より線φ19.3㎜ 3段) - 増厚部外装補修
下地調整材塗布(合成樹脂エマルション系)
塗装(複層塗材RE仕上(水系エポキシ)凹凸状仕上げ)
施工
土工事
側壁増厚コンクリートを施工するため、配水池床版コンクリートまで掘削を行いました。
側壁増厚工事
当初は、配水池側壁外面に施工されている既設保護コンクリートを巻き込む形で増厚コンクリートを行う予定でしたが、既設保護コンクリートが床版から起ちあがっておらず安定性が低いため、施工の安全性を考えて撤去することにしました。
また、近接する宅地があり、騒音対策として足場の養生ネットを防音シートに変更することを提案し採用していただきました。
増厚コンクリートについて、一般部(97m3)は、コンクリートポンプ車を使用して打設を行うため2リフトに分けて打設しました。
型枠脱枠後、外ケーブルのPC鋼材を配置しました。ピラスター部(9.5m3)は、緊張力を与えて良い強度の発現時期を短縮するためにコンクリート強度を30N/mm2→ 36N/mm2に変更し打設を行い、3日間の工期短縮を実現しました。
PC工事
工事以前に行われた耐震診断結果に基づき、配水池本来の緊張力の損失分を補うためにPC鋼材φ19.3㎜ 3段(6ケーブル)を新たに追加しました。
PC鋼材は、SUPROアンボンドPC鋼より線(PC鋼より線をポリエチレン系特殊樹脂でコーティングし、ダクトとなるポリエチレン管とのすき間に潤滑補助剤を充填した製品で、通常のPC鋼より線を高耐久化したもの)を使用しました。
最下段は地中埋設となるため、さらにその周りをポリエチレン管で保護して埋戻土による拘束を防止しました。
写真-9 PC鋼より線配線状況 写真-10 PC鋼より線緊張工
防水工事
屋上防水に先立ち、既設防水モルタルの劣化部を撤去・復旧しました。
ひび割れについては、配水池が供用中であり、ひび割れ幅も1㎜程度の大きいものあり注入工法では行えないと判断し、充填工法で実施しました。
塗膜防水(密着工法)については、下地処理を行い、塗装作業は、温度・湿度管理を行い、インターネット等で降雨が予想されるときは作業を中止して施工不良にならないように留意して行いました。
写真-11 既設防水モルタル調査状況 写真-12 防水モルタル浮き部撤去 写真-13 ひび割れ充填工 写真-14 下地処理状況 写真-15 ウレタン防水材塗布状況 写真-16 防水塗膜厚さ確認
塗装工事
側壁のひび割れは、0.20~0.30㎜のものにひび割れ注入工法を実施しました。
塗装工は、複層塗材REにて実施しました。
写真-17 ひび割れ注入状況 写真-18 塗装材塗布状況
付帯設備工事
付帯設備は、螺旋階段1基、人孔蓋1基、歩廊防止柵、避雷針1基、雨樋6カ所の更新を行いました。
写真-19 螺旋階段設置 写真-20 人孔蓋・歩廊防止柵設置 写真-21 避雷針設置 写真-22 雨樋設置
場内整備工事
場内整備工事は、路盤工・表層工を行いました。
写真-23 上層路盤転圧状況 写真-24 表層工完了
終わりに
本工事は、住宅地の真ん中にあり、工事進入路も非常に狭く、通学路であったため、資材の搬入等が困難でありましたが、工事誘導員を配置して工事用車両の車長を制限し、施工中天候にも恵まれたことにより予定通りに施工を進めることができました。
発注者である別府市上下水道局、周辺の住民の皆様、工事協力業者、資材供給業者の皆様の協力のもと、無事故・無災害で工事を完成することができました。関係者の皆様にはこの場をお借りして感謝申し上げます。