液圧差レベル計測システムの現場管理について
導入
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図-1
はじめに
液圧差レベル計測システムは、アルティミット工法の特長の一つにも取り入れられ、社内での認知度も高くなってきました。
実際に使用したことのある方もだいぶおられると思います。
しかし、現場によっては必ずしも有効に活用されているとは言えない場合があり、その原因として管理の難しさなどが挙げられています。
今回は、液圧差レベル計測システムを今まで以上に有効に活用していただくために、現場管理における注意点や、問題点の解決策などを中心に報告します。
測定までの流れ
導入から測定までの簡単な流れを図-1に示します。
取り扱いはこの手順に従って行います。
また、図-2に取り付け概略図を示します。
基準タンクの据え付け(図-2中の①)
基準タンク内の水面より、立坑側・掘進機側の各センサが高くなると、水圧がかからなくなり正確な測定が行えません。
基準タンクの据え付け高さは、立坑側・掘進機側両センサより高くして下さい。
センサの取り付け
センサの固定に、結束線などを使用している現場をまれに見かけます。
センサが不安定になり、測定精度が悪化しますので、センサの先に配管されているソケット部をUボルト等で締め付けるなどして、しっかり固定して下さい(写真-1)。
また、センサ本体(胴部)での固定は、センサ内部の圧力検出部に影響を与え、センサの故障の原因になるので行わないで下さい。
立坑側センサ(図-2中の②)
立坑側センサの測定範囲は、0~2.5mとなっています。
それ以外の高さにセンサを取り付けると、正確な測定値を示さず、また故障の原因になります。
センサの取り付け高さは、基準タンクの水面から下、2.5m以内として下さい。
掘進機側センサ(図-2中の③)
掘進機に直接設置するため、ローリングによる影響を大きく受けます。
センサ高さの変化量を少なくするために、なるべく掘進機の中央か管頂部に取り付けて下さい。
掘進機の側面に取り付けると、ローリングの際にレベルの変化量が大きくなり、正確な測定値が得られません。
センサはレベルの変化量によって数種類用意されています。
それぞれの現場に適した測定範囲のセンサを取り付けて下さい。
配管
推進管セット時のホースの着脱は、金属製の専用カプラで行います。
プラスチック製のカプラは、着脱の回数が増えるとゴムパッキンが劣化し、水が漏れる原因となってしまいます。
また、液圧ホース内にエアが混入すると、ホース内での圧力振動が大きくなり、正確な測定値を示しません。
このエア抜きを、きちんと行うか、行わないかでその現場における測定値の精度に大きく影響します。
ホース内には絶対にエアを残さないように配管して下さい。配管の方法は、
- 従来どおりにエア抜きバルブでエアを除去する方法。
- 水を溜めたバケツにカプラを沈め、エアが入らない状態で配管する方法。
- カプラに水を溜めておいて、エアが入らないように配管する方法。 など、いくつかの方法があります。各現場で扱いやすい方法を選んで下さい。
配線には
- 立坑側センサからの配線
- 掘進機側センサからの配線
- パソコンへの配線
の三つの種類があります。
ここで、cのパソコンへの配線に関しては、距離計のデータを取り込み、推進中の計画値と測定値との差を、パソコン(図-2中の④)にリアルタイムで表示させたい場合に行います。
パソコン接続の場合はインターフェースボックス(図-2中の⑤)内の切り替えコネクタを、「パソコン」側に接続して下さい。
測定
測定の方法には、インターフェースボックスのレベル表示画面だけで測定を行う方法と、レベル表示画面での測定のほかに、パソコンを接続して、計画値と測定値の差をリアルタイムで測定し、表示する方法の2種類があります。
レベル表示画面での測定
現場によって、センサ特性など設定項目が違うので、導入時には設定ボタンを押し、各種設定を必ず行って下さい。
測定の時はモニタボタンを押し、測定値を表示させて下さい。
パソコンでの測定
ジャイロナビゲーションシステムとソフトを共有して、アルティミット工法での掘進機位置管理システムとしての使用も可能です。
距離計からのデータを取り込み、リアルタイムで計画との差を表示します(図-3)。
現在の問題点
現在、液圧差レベル計測システムを管理する上での問題点として、
- 掘進機側センサの取り付け位置が、取り付け作業上の問題で、掘進機の後続管になってしまうため、修正後の測定値の変動が遅れてでてくる。
- 液圧ホース内への給水の手間がかかる。
- 液圧ホース内へのエアの混入が測定値に大きく影響を与えるため、エアに関して慎重な管理が必要。
などが挙げられます。
おわりに
今回報告した、液圧差レベル計測システムが正式に現場に導入され始めてから約4年が経ちましたが、測定方法の簡略化など現場からの要求も出てくるようになりました。
現場によっては独自に測定方法の改善などを行っている場合もあるようですが、そのような情報が、システム自体の本格的な改善につながります。
開発部では、これからも液圧差レベル計測システムについて、測定方法の改善や測定機器の改良などを行っていきたいと考えています。