泉町工事-φ1800×470mアルティミット R-15,50,80,100の急曲線施工
工事概要
当工事は、大阪府大東市泉町において府シールド管と接続するφ1800mmの下水道管を急曲線泥水アルティミット工法により埋設したものです。
土被は浅く管渠布設位置の土質は、粘土・シルト有機質粘土等が主体の沖積粘性土層(Ac)でN値が0~4と非常に軟らかく自立性に欠け、施工中の地盤の乱れが発生しやすい地質のため、路面管理は滑材注入にて対応しました。
推進工法では困難とされていた長距離急曲線推進で、急曲15mを含む8つのカーブを含んでいます。
2工程であるシールド工法に比べ工期が短い事は明らかであり、急曲線位置の合成鋼管のコストは高くなりますが、全体コストにおいては優位である事から採用され、府下を超えた注目現場でありました。
推進工事の概要 φ1800mm急曲線・長距離推進 泥水アルティミット工法
推進距離 | カーブ推進 | |
---|---|---|
No.1~No.2 | 470.33m | R=15・50・80・100m |
No.1~No.0 | 89.98m | R=16m |
掘進機 | 外径φ2150mm・二段折れ シールドジャッキ装備機 |
元押設備 | 200tf×6台 |
中押設備 自動中押3段 | 特殊中押設備 600tf 2段 普通中押設備 800tf 1段 |
使用管種 | 合成鋼管・ヒューム管 L→400mm、800mm、1200mm、2430mm |
自動滑材注入システム使用 液圧差レベル計設置 ソーキ式自動測量システム使用 最大設置台数 10台 |
施工概要
当工事の施工環境は、住宅地に位置し発進基地においては、2件の民家が近接しており2方向に対し住宅密集地であることより、設計が20時間施工であるのに対し当初より9時間施工の制約を受けました。
又、No.1→No.2管路は、5m幅員の生活道路であり到達前70mにおいては、3t規制道路で全推進区間、住宅が密集した狭い道路下での15Rを含む8曲線推進施工であり、下水道管渠としてのレベル精度の重要性と共に水平変移の管理と路面沈下防止のための切羽管理、固結滑材注入量の管理が重要でした。
使用した掘進機は、粘性土であることから、普通の面盤を使用し第1スパン到達時の搬出条件等により、分割型・2段折れで新作しました。
従来、掘進機が、互層土質に難儀するのは常ですが、今回は全路線が粘性土で、途中に水路松杭が点在する恐れがあったので面盤開孔率を高めにしました。
これは、杭に対しては有効でしたが、反面発進鏡部および曲線部の反力防護として施工した補助工法の「JSG残魂」に起因する閉塞により掘進ロスが発生しました。
そこで旧式ではありましたが、レキ取り箱を現場にて作成し設置することでロスを半減することが出来ました。
(測量管理)
長距離・急曲線推進測量においては、測量精度が不可欠であるのは言うまでもありませんが、測量時間の短縮が日進量へ大きな影響を与えます。
当現楊においては最終的に10回の光波トランシットの盛り変え測量となり、通常では1回の測量に時間90分程度を要すると算出されますが、ソーキ式自動測量システムを採用する事により10台セット時でも30分程度に短縮出来ました。
温度差による屈折により3mm範囲の誤差はありましたが、システム計算で問題なく施工することが出来ました。
(推進力)
実施推進力は、曲線部も含めて計画の30%で推移しました。
始動時の推力は、余分に100tf・休日明けの開始時で150tfの推力を必要としましたが、最終到達時640tfと元押推進のみにて対応し、3段設備の中押設備は、使用せずに推進できました。
(日進量)
当初設計は、昼夜作業でしたが前述の時間制約もあり、実施日進量は6.5m/10hでした。
(最後に)
今回の工事は、下水道管布設工事における急曲線・長距離推進工事であり、以前の大阪府堺狭山工事に次いで、2回目の経験でしたが、土質・使用管渠の違いで、推進力に大きな差がある事を感じました。
また自動測量システムとジャイロシステムについては互換性を持たすことにより、更なる測量のスピードアップが可能となると思いました。
当初より注目された現場であることもあって、各方面から多数の見学者が訪れました。
付帯工事も含め平成11年9月29日を以って無事工事が完了いたしましたことを報告し、営業に少しでも参加出来た事をうれしく思います。