ステンレス製の全溶接円筒型配水池の施工報告(箕面北部丘陵地区高区配水池増設工事)
はじめに
本工事の目的は、箕面森町地区における水需要の増大に伴う配水池の増設です。
供用中の箕面森町高区配水地内に、有効容量900m3のステンレス製円形配水池を建設しました。
本稿は、工事の本体部分であるステンレス製配水池築造工事に関する施工報告です。
工事概要
工事名 | 箕面北部丘陵地区高区配水池増設工事 | ||
発注者 | 大阪府都市整備部箕面整備事務所 | ||
施工場所 | 大阪府箕面市森町北二丁目地内 | ||
工期 | 平成30年 2月 8日 ~ 平成31年 2月28日 | ||
実施期間 | 平成30年 2月 8日 ~ 平成31年 2月 5日 | ||
工事概要 | ① 配水池築造工事 | 基礎形式 | 直接基礎 |
配水池構造形式 | ステンレス鋼板製の全溶接円筒縦型貯水槽 | ||
配水池有効容量 | V = 900m3 | ||
配水池有効水深 | H = 6.0m(H.W.L +327.50 L.W.L +321.50) | ||
配水池内径 | D = 13.9m | ||
② 場内配管工事 | 浄水管布設、汚水管移設 | ||
③ 場内整備工事 | 舗装工、門扉工、柵工、他 | ||
④ 電気設備工事 ⑤ 機械設備工事 | |||
工事内容
配水池築造工事施工フローチャート
基礎工
配水池の基礎形式は直接基礎です。
大部分(80%程度)がN値50以上の切土に接するため直接基礎という計画になっていますが、一部(20%程度)は盛土上となるため平板載荷試験により地耐力を確認してから施工を行いました。
床掘完了後、基礎砕石を敷均し、均しコンクリートを打設します。均しコンクリート上に鉄筋・型枠を組み立てて基礎コンクリートを打設します。
基礎コンクリート完成後は、ステンレス製配水池底板とのなじみ層としてコンクリート上面にアスファルトを舗設しています。
写真-1 基礎コンクリート鉄筋組立完了 写真-2 基礎コンクリート完成 写真-3 アスファルト舗設完了
配水池本体工
配水池基礎コンクリート上に、ステンレス製配水池本体を組み立てます。
ステンレス製部材は工場にて製作したものを現場に搬入しました。
底板にはSUS304Aを用いています。組立は底板外周部(アニュラプレート)から開始し、壁板1段目、底板内部と進めていきます。
底板は供用開始後には目視点検が困難なため、全溶接線に対して浸透探傷試験(PT)による確認を行います。
写真-4 底板外周部(アニュラプレート)組立状況 写真-5 壁板(1段目)組立状況 写真-6 底板組立状況
底板組立完了後、壁板2段目以降の組立を行います。
本配水池では配水池の運用水位を考慮して、壁板1・2段目はSUS304A、壁板3~5段目はSUS329J4Lを用いています。
組立時には溶接によるひずみを考慮して、2段程度、点溶接による仮組を先行してから本溶接を行っていきます。
壁板組立完了後にはトップガーダーと呼ばれる補強材を壁板頂部外周に設置します。壁板は溶接箇所を抽出して、放射線透過試験(RT)および浸透探傷試験(PT)により溶接の品質を確認します。
写真-7 壁板組立状況 写真-8 壁板溶接状況
壁板組立完了後、屋根の組立を行います。
屋根は2層構造となっており、ラフター材と呼ばれる屋根構造の梁材を外側の屋根板と内側の天井板とで挟み込む形状です。屋根板は塩素ガスに直接曝されることが無く上載荷重の影響を受けるためSUS304A(t=3mm)を用いており、天井板は配水池の気層部に設置されるためSUS329J4L(t=1.5mm)を用いています。
施工手順は、
ラフター材(ボルト接合) → 天井板(溶接) → ラフター小梁(ボルト接合) → 屋根板(溶接)
と進みます。
写真-9 ラフター材組立状況 写真-10 天井板組立状況 写真-11 天井板溶接状況
配水池躯体の組立と並行して、適宜、池内配管・内部梯子・人孔・歩廊・通気口等の付帯物を取り付けます。
完成後、足場の解体と時期を合わせながら、不働態化処理を行い施工完了となります。
写真-12 歩廊取付状況 写真-13 付帯物取付完了
おわりに
本工事は、供用中の施設内での増設工事ということに加え、同一施設内で別途発注された工事の施工があったため、発注者・施設管理者・工事関係者との入念な打ち合わせ・工程調整を行い、工期内に工事を完了することが出来ました。
関係者の皆様にはこの場をお借りして感謝申し上げます。
写真-14 配水池完成(内部) 写真-15 配水池完成(全景) 写真-16 配水池完成(外観)