アルミニウム合金製ドームトラス屋根構造を採用したタンクの施工報告
はじめに
本工事は、昭和51年に築造された氷見市上田子浄水場1号配水池の耐震補強工事の内、アルミドーム屋根の設置、配水池内面防触塗装、外面塗装および歩廊部の防水塗装を行うことで、1号配水池の改築を目的として実施しました。
工事概要
配水池内径 | D = 33.1m |
全水深 | H = 7.2m |
有効水深 | He = 7.0m |
壁厚 | t = 0.2m |
有効容量 | Ve = 6,000m3 |
① | 配水池内面防蝕塗装工事 | 側壁 | 1,070㎡ |
床版 | 800㎡ | ||
② | アルミドーム屋根設置工事 | ドーム内径 | 30.050m(構造直径) |
ドーム高さ | 4.752m | ||
③ | 外面塗装工事 | 568㎡ | |
④ | 歩廊防水塗装工事 | 413㎡ | |
⑤ | 付帯設備工事 | (転落防止柵、内部梯子、人孔蓋、外部階段、避雷針、配水管切替、雨樋設置) |
図-1 改修工一般図
工事内容
工事フローチャートを以下に示します。
塗装作業足場の設置(内外部足場)
内面防蝕塗装(側壁)・外面塗装を行うために足場を設置しました。
写真-1 外部足場 写真-2 内部足場
内面防蝕塗装
側壁部は、高圧洗浄で既設コンクリート表面の脆弱部を除去後、ポリマーセメントモルタルにて不陸整正を行いました。また、側壁コンクリートの水平打継部には、漏水を防止するためにガラスクロスをエポキシ樹脂にて貼付しました。
水平打継部補強後に防蝕塗装(ポリウレア樹脂)の吹付けを行いました。
床版部は、内部足場解体・アルミドーム屋根上架後に防蝕塗装を行いました。
作業時においては、配水池内部に温度・湿度計を設置し、温湿度管理を実施して塗装作業環境に適しているかを確認して品質確保に努めました。
写真-3 施工前 写真-4 打継補強 写真-5 内面防蝕塗装(側壁部) 写真-6 内面防蝕塗装(床版部) 写真-7 内面防蝕塗装完了
アルミドーム屋根設置
アルミドーム屋根の組立は、ドーム屋根内径が30.050mと大きく、浄水場の敷地内での組立が困難であったことより、内面防蝕塗装完了後、内部足場を解体して配水池内部にて行いました。
写真-8 アルミドーム屋根組立 写真-9 組立完了
アルミドーム屋根の上架は、チルホールを用いて人力作業で実施しました。
ドーム屋根の重量が約19tであることから3t吊り用のチルホール15台を用いました。
作業用足場やチルホールの設置などの準備作業は上架前日までに済ませておき、翌朝から上架を始めて8:00~12:00までの約4時間で上架を完了しました。
作業人員は、チルホール操作員15名、合図者1名、監督者1名の17名で、チルホール全台数の上架速度を調整して行いました。
写真-10 上架用チルホール 写真-11 上架用架台・作業足場 写真-12 上架状況 写真-13 上架完了
歩廊防水
アルミドーム屋根設置に先立ち、歩廊部の防水を行いました。
ポリマーセメントモルタルにより不陸整正を行った後に、超速硬化ウレタンを吹付けました。
材料の飛散を防止するために、施工箇所全面にビニールシートを張りその中で吹付けを行いました。
写真-14 歩廊防水施工状況 写真-15 歩廊防水完了
外面塗装工
内面防蝕塗装と同様に高圧洗浄にて脆弱部を除去し、ポリマーセメントモルタル施工後、複層塗材を塗装しました。
写真-16 高圧洗浄状況 写真-17 外面塗装状況
付帯設備工
歩廊部転落防止柵、内部梯子および外部階段等の設置を行いました。
写真-18 歩廊部転落防止柵設置 写真-19 内部梯子設置 写真-20 外部階段設置 写真-21 人孔蓋設置
おわりに
本工事は、アルミニウム合金製ドームトラス屋根構造としては、施工実績の少ない大規模(ドーム内径30.050m)な工事でした。
協力業者と綿密な打ち合わせを実施し、材料搬入からドーム組立・上架まで大きなトラブルなく施工を行うことができました。
また、工事全体を通しても無事故無災害にて工事を完了することができました。
関係者の皆様には、この場をお借りして感謝致します。
写真-22 配水池(施工前) 写真-23 配水池(完成) 写真-24 アルミドーム屋根全景