アルティミット工法を小口径管の分野まで 拡大 曲線対応のアルティミットJr掘進機の誕生
はじめに
近年、下水道をはじめとするパイプライン施設は、過密化する市街地での道路事情や周辺環境維持の問題などから、長距離・急曲線推進の要望が高まっていました。
アルティミット工法は、これらの問題を解決するために長距離・急曲線を高精度に推進施工できる工法として開発され、平成3年に施工を開始して以来、平成13年度末までに推進延長が約85,000mという実績をあげ、社会資本整備の向上に貢献してきました。
しかし、大都市の下水道整備事業が進むにつれて、5万人以下の都市の下水道普及率が27%と低いことから、地方都市へと整備範囲が移り、管径が大口径から小口径へと変化して、小口径管推進工法の社会的ニーズが高まってきました。
このため、アルティミット工法による小口径管推進施工の要請も多くなり、その社会的ニーズに応えるために、今回、小口径の分野を担う アルティミットJr掘進機及びシステムの開発を進め、小口径管において曲線推進施工を効率的で安全におこなえるアルティミットJrのシステムを確立しました。
今後の小口径管推進施工の計画・設計にご検討いただき、生活基盤整備の向上に活用していただくために、以下に適用管径・適用土質、工法内での位置づけ、特長などについて報告します。
推進延長・適用管径及び適用土質
推進延長 | L<=100m(曲線推進の場合) |
適用管径 | 下水道推進工法用鉄筋コンクリート管の場合 250~500(呼び径) ※今回は呼び径400対応の泥水式を製作しました |
適用土質 | A土質~B土質(普通土~礫質土) |
土質 | 礫含有率 | N値 | 最大礫径 | 面盤 |
---|---|---|---|---|
A土質 シルト粘土 | - | 10以下 | - | 標準型 |
A土質 砂 礫混じり土 | 20%以下 | - | 20mm以下 | 礫対応型 |
B土質 B1 砂礫 | 30%以下 | 30以下 | 65mm以下 | 礫対応型 |
B土質 B2 硬質 粘性土 | - | 10~30 | - | 標準型 |
工法の位置づけ
アルティミットJrは、小口径管の曲線推進を泥水方式一工程式で円滑に施工します。
┌刃口推進
│ ┌アルティミット工法 泥水式
│ ┌泥水式工法┤
│ │ └他の泥水式工法
推進工法┼中大口径管推進工法┤
│ │ ┌アルティミット工法 土圧式
│ └土圧式工法┤
│ └他の土圧式工法
│
│ ┌泥水方式─アルティミットJr.
│ │(1工程式)
│ ┌高耐荷力方式┤
│ │ │
│ │ └他の高耐荷力方式工法
│ │
└小口径管推進工法┼低耐荷力方式
│
│
└鋼製さや管方式
工法の特長
曲線推進が可能
曲線造成
アルティミットJr掘進機内には、5箇所に方向制御ジャッキが装備され、最少半径R=50mの曲線造成が可能です。
曲線の形成及び保持
推進管の追随性の確保と管端面の破損防止のため、推力伝達材(センプラリング)を管継手部に装着するセンプラカーブシステムを採用します。
センプラリングを使用することにより、管内での目地開口のための特別な機構を必要としません。
従って、小口径管の合理的な曲線推進が実現できます。
位置管理画面による曲線精度管理
掘進機内に、ジャイロ、電磁誘導磁界発信器、液圧差レベル装置を装備していますので、リアルタイムに曲線精度管理がおこなえます。
曲線対応の送排泥管
曲線推進施工に対応するために、2重管として継手部で屈曲が可能な構造となっています。
小立坑からの発進到達が可能
発進立坑は、内径2500mmからの分割発進。
到達立坑は内径1200mmの2号人孔からの分割回収が可能です。
地中環境を保全
単位時間当たりの送・排泥量差を測定し演算することにより掘削土量(土量率)を算定し、液晶画面にグラフ表示する泥水式掘削管理システムを使用しています。
適正な掘削土量を環境管理しながら推進可能で、地中を保全し、他ライフライン・地上への影響をゼロにします。
中央集中管理システムの採用
中央集中操作室内で、一元化した遠隔操作が可能で、推進施工管理が効率良くおこなえます。
また、推進管据え付け時の送排泥水を環流させるための立坑バイパスの切替作業を、中央集中操作室内で遠隔操作させることによって省力化を図っています。
コーン内洗浄機構
土質条件の変化などによって、掘削スピードが低下するのを防止するために、高圧水洗浄機構を面板コーン部に装備しており、安定した推進施工を提供します。
効率の良い施工が可能
小口径管の曲線推進施工では初めての泥水方式1工程式を採用し、曲線推進工事が効率良く、安全に提供できます。
アルティミットJr掘進機
今回、開発しました呼び径400の小口径管対応の掘進機を写真により紹介いたします。