「高土被りでの電磁誘導測量」現場実験報告

はじめに

隠岐における小口径アルティミット工法施工報告でも紹介しました、電磁誘導測量システム「モールキャッチャー」について、高土被りにおける精度確認実験を行いましたので、結果を報告します。

実験現場

実験を行った管路は、大阪市内の幹線通りである都島本通を横断しており、近接して地下鉄谷町線と共同溝がありました。

呼び径2,000mm
土被り約8.2m
測定位置発進約60m 2箇所(都島本通近辺 図-1)

実験を行うに当り、測点近辺の空間ノイズの測定を行いましたが、交通量が多いことから高いノイズが確認されました。

図-1 測定位置

実験内容

実験は到達後の推進管内に発信コイルを設置し、地上における座標測定結果や受信感度などを確認することを目的に行いました。
測定上で問題となる項目として、

  1. 土被りが大きい(発受信コイル間の離隔=約10m)
  2. 交通量が多く車両関係のノイズが大きい
  3. 地下埋設物・構造物が多い

などがあり、これらの影響で磁界が影響を受け、地上での測定座標が実際の発信コイル座標より大きく外れることが予測されました。 実験前に発信コイルの設置位置を測量により求め、地上における同位置にポイントを移し、測定値との差を計測しました。

測定結果

各測点における測定結果を表-1に示します。

測点1測点2
X方向Y方向測点感度X方向Y方向測点感度
1回目-30-7良好25-103良好
2回目-20-5良好40-86良好
3回目-32-7良好31-108良好
平均-27-632-99
表-1 測定結果
X方向:推進方向   前(+) 後(-)
Y方向:センター方向 右(+) 左(-)

表から、測点1では推進方向で30mm以内、左右方向で10mm以内に納まりました。
しかし測点2では、推進方向で100mm前後、左右方向で30mm前後の差がありました。
これは、測点2が都島本通に面する交差点で、地下鉄、共同溝、信号等があり、交通量が多い地点であったため、周辺環境に影響されたものと思われます。
しかし、このような市街地で高土被り、高ノイズといった悪条件の中でも測定位置を計測できたことは、今後の測定精度の改善や小口径用アルティミット工法への適用に大変有用な結果となりました。