φ3000×255m土圧式推進工法

工事概要

当工事は、東京湾に面した東京電力大井火力発電所と品川火力発電所間を流れる潮運河下をφ3000mmの推進管を泥土圧推進により横断するものです。
品川火力発電所の新設に伴う燃料(ガス)供給用の配管ルートを確保するため 大井側発進立坑から17.6%の下り勾配で約20m掘進後R=688mの縦断カーブで品川立坑に推進しました。
当初は運河西岸の鋼矢板護岸下端から推進管外径分の離隔(1D)を確保した水平推進で計画されていましたが、発注者側のコストダウンの意向で立坑深さを浅くできる縦断カーブ推進が採用され、立坑はオープンケーソンから鋼矢板に変更の上発注されました。
地形は東京湾内の大井・品川両埠頭内で発進部AP+7.0m、到達都AP+5.0m、中間部運河水位がHWL、AP+2.0mです。
発進部管底でAP-6.0m、最深部管底AP-19.85m、到達部管底でAP-10.2mになります。
地質はほとんどがシルト質層でN値2前後です。
また発進・到達付近の浅い所で埋土が存在し、運河横断中間部で掘削断面下端から約1mの砂礫層が約40mの区間出現しました。(礫径は10~20mmが主体で最大100mm程度)

推進延長255mm
掘進機外径3520mm
重量58.7tf
使用管種NS推進管2種
元押設備200tf×6台=1200tf
中押設備100tf×12台 =1200tf 1段
滑材設備自動滑材注入装置によるアルティーKの注入
(バルブ配置は25m間隔)
推進工事の槻要 φ3000mm泥土圧式工法
曲線推進トンネル平面図
曲線推進トンネル断面図

施工概要

当工事は東京電力施設構内(発電所)であるため、施工中はほとんど毎日監督員の指導があり、また週2~3回の安全パトロールが実施されましたた。
推進設備での特異な事として発進・到達両坑口・架台及び支圧壁を10度の勾配で設置したことがあげられます。
推進中は発進から約25mまでと、到達付近での土被りが浅い埋土層内で、コンクリートガラ・石魂(排土したもので径300mm程度)・PC鋼棒(径36mm)・その他木材等のゴミが出、スクリューコンベアや圧送機内に閉塞しました。
スクリューコンベア(S/Cと記す)のゲート口は、10インチ×8インチのレデューサで現場加工しそのまま圧送機ホッパーまで8インチ配管で排土するようにしていました。
しかし8インチ以上の大きなガラや石は10インチ入口のところで詰まり、その都度レデューサを取外さねばならず、3000mmとはいえ、後方台車等があり作業場所は狭く困難な作業でした。
このトラブルは5~6回あり1回あたり3~4時間費やしました。
PC鋼棒がS/C内に入ってきた時は大きな音がしてS/Cが正常に回らなくなりどうなる事かと思いました。
それでも根気よく正転反転を繰返していると、これまでにないような音がして約20cm約50cmのPC鋼棒が出てきました。
約70cm鋼棒がS/Cのトルク(1.48tf-m)で折れて排出したようでした。
スクリューは軸付で羽根径500mm・羽根ピッチ400mmでした。
推進中の推力は、50mですでに400tfであったため滑材をスベールウルトラからアルティーKに変更したところ推力の上昇が少なくなりました。
推力は100mで580tf、200mで750tf、250mで1000tfでした。
その他にも推進中若干のトラブルがありましたが無事到達し平成10年12月25日に掘進機を回収できました。(発進は11月13日、本掘進は昼夜間施工、休工は日曜の夜勤のみ)
当工事は、内径が大きい事、縦断カーブでの河川横断という特異な推進工事であったため、東電や元請けの方々、その他多数の工事見学者の対応に絶え間なく忙しい現場でした。