No.61 大枝ポンプ場耐震補強工事(その1)工事施工報告

担当部門 PC事業部
水野 達夫
伊藤 大介

 1.はじめに

 本工事は、「守口市下水道総合地震対策計画」の一つとして、大雨時の雨水を貯める施設の耐震向上を目的として、大枝調整池の浚渫工事・耐震補強工事の施工を行いました。

 2.工事概要

 工事名 大枝ポンプ場耐震補強工事(その1)
 施工場所  大阪府守口市松下町1番97号
 発注者  守口市
 受注者  機動建設工業株式会社
 工期  平成28年11月18日〜平成29年3月31日
 工事内容  浚渫工事  一式
   耐震補強工事  一式
    後施工せん断補強鉄筋工



※赤斜線部が後施工せん断補強鉄筋工施工箇所

図-1 大枝ポンプ場調整池平面図

 3.施工位置図

   工事場所 : 大阪府守口市松下町1番97号





図-2 大枝ポンプ場平面図

 4.工事施工フローチャート

 当工事の流れとして、まず大枝ポンプ場の調整池内に溜まっている汚泥の処理を行い、汚泥処理完了後に、調整池底版の耐震補強工事として、地中梁に後施工せん断補強鉄筋の定着を行いました。



工事施工フローチャート

 5.浚渫工

 汚泥処理の基本的な流れとしては、各部屋の固まった汚泥を高圧洗浄で融かし、水切りワイパー・手押し一輪車で出入口まで運んでピット通路部に落とし、排砂ポンプで吸引して水と砂とに分け、砂のみが地上の沈砂ホッパーに運搬されます。沈砂ホッパーに堆積された砂はダンプで処理場まで運搬を行いました。
 各部屋の汚泥処理・清掃作業完了後、ピット通路部に残った汚泥処理・清掃を行い、最終的にピットに残った汚泥は特殊強力吸引車(バキューム)で処理を行いました。



図-3 汚泥清掃作業図



写真-1 汚泥清掃施工前(ピット通路部)



写真-2 汚泥清掃施工前(部屋)

写真-3 汚泥処理状況(汚泥溶解)

写真-4 汚泥処理状況(汚泥運搬)

写真-5 汚泥処理状況(ピット通路部)

写真-6 汚泥処理状況(バキューム)



写真-7 汚泥処理完了(ピット通路部)



写真-8 汚泥処理完了(部屋)

 6.耐震補強工(後施工せん断補強鉄筋工)

 耐震補強工として、後施工せん断補強鉄筋工を施工しました。
 後施工せん断補強鉄筋工はRMA工法を使用しました。

 @ RMA工法概要説明(先端斜めカットせん断補強鉄筋について)
 RMAとは、既存のRC構造物にあと施工型のせん断補強鉄筋を定着させる為に用いるカプセルタイプの無機系モルタルとそのせん断補強鉄筋の総称です。
 既存RC構造物の表面からコアドリル等を用いて削孔し、その孔内に水に2〜5分程度浸水させたモルタルカプセルを挿入し、その後にせん断補強鉄筋の打ち込みを行います。モルタルが硬化した後は、せん断補強鉄筋と既存構造物が一体化し、既存構造物のせん断補強鉄筋を補う事ができます。
 利点として、従来はせん断補強鉄筋を削孔内に挿入し、その孔内に現場で練り混ぜたモルタル等を注入するという作業が必要でしたが、「RMA」を用いることにより、この作業を簡略化し、作業の軽減が図れるとともに、モルタルの品質の安定にも繋がります。
 また、「RMA」の先端斜めカットせん断補強鉄筋は、一般の鉄筋(異形棒鋼)に図-4に示す様に鉄筋先端の斜めカットのみの加工を加えることにより使用でき、特別な部品等を必要としない為、現場での加工も容易な事も挙げられます。



図-4 RMA工法標準配置図

 ※RMA工法に関する注意事項
 背面側からせん断補強鉄筋までの距離(a)は、背面側の主鉄筋の中心と同じとする。
 ただし、背面側の主鉄筋のかぶりが50mm以上の場合に適用する。これは、施工上の押し抜けを防止する観点から50mm以上を確保する必要があるからである。
 差込側からせん断補強鉄筋の後端までの距離(b)は、差込側の主鉄筋の中心と同じとする。

 A 当工事における、耐震補強工事(後施工せん断補強鉄筋工)
 各部屋(No.1〜No.7)の平面位置と、後施工せん断補強鉄筋の施工本数を以下に示します。



後施工せん断補強鉄筋工(D19)施工本数

No.1 : 1548本、 No.2 : 1425本、 No.3 : 1801本、 No.4 : 1548本、 No.5 : 1548本、 No.6 : 312本、 No.7 : 198本、 合計 8,380本

 浚渫工事の汚泥処理量の増加により、耐震補強工事の施工開始が当初の予定よりも遅れ、耐震補強工事の工程が非常にタイトになりました。これに対しては、耐震補強工事に関わる施工人員を常時25人〜35人配置する計画で施工を開始しました。

 (1) 鉄筋探査・墨出し
 後施工せん断補強鉄筋工施工箇所を電磁波レーダー法による鉄筋探査を行いました。
 しかし、床版の上に勾配コンクリートが打設されており、勾配コンクリートと地中梁とが付着切れしている箇所については、鉄筋探査機械が反応しない箇所が多くありました。
 その為、削孔時に既設鉄筋にあたる事が多くあり、再削孔による作業効率低下が発生しました。



図-5 後施工せん断補強筋断面図

写真-9 鉄筋探査状況 写真-10 墨出し完了
 (2) 削孔
 鉄筋探査・墨出し完了後、削岩機・コアボーリングを用いて削孔を行いました。
 削岩機での削孔時は削孔粉の飛散を防止する為に、掃除機で吸引しながら削孔を行いましたが、それでも地下5階で削孔した際に発生する削孔粉が1階まで飛散してくる恐れがあった為、現場周辺環境を考慮し、1階に集塵機5台(写真-14)を設置し、削孔を行いました。
 削孔長が2300mmを超える箇所は、既製品の削岩機ビットが無く削孔できない為、コアボーリングにて削孔を行いました。
 工程の遅れ・再削孔による作業効率の低下を考慮して、削岩機を1日最大22台使用して削孔を行いました。

写真-11 削岩機削孔状況 写真-12 集塵機設置
 (3) 削孔長・偏芯検測
 削孔が完了した部屋から順に削孔粉の清掃を行い、削孔長・削孔位置偏芯の全数測定を行って、許容誤差の範囲内で削孔されていることを確認しました。

写真-13 削孔長測定 写真-14 削孔位置偏芯測定
 (4) 定着
 定着前に掃除機で孔内の清掃を行い、あらかじめ容器に準備した水に2〜5分(カプセルから気泡が出なくなるまで)浸水させたモルタルカプセルを孔内に挿入し、ハンマードリルの打撃により上かぶり65mmを確保するまで、せん断補強鉄筋の打ち込みを行いました。
 その後、溢れ出たモルタルを左官仕上げにより、平坦に表面仕上げを行いました。
 不用孔は無収縮モルタルにより充填を行って断面修復を行いました。

写真-15 削孔完了孔内清掃状況

写真-16 モルタルカプセル浸水状況

写真-17 モルタルカプセル挿入状況

写真-18 せん断補強鉄筋打設状況

写真-19 上かぶり測定

写真-20 打設用機材

写真-21 表面仕上げ状況

写真-22 表面仕上げ完了

 7.おわりに

 本工事では、汚泥の数量が当初の予定よりも多く、処理に時間がかかり、工期的にも厳しい中での施工となりましたが、発注者、協力工事会社との打ち合わせや工程調整・施工計画の検討を実施して、総本数8380本の後施工せん断補強鉄筋を施工する耐震補強工事を約2ヵ月で完了する事ができ、すべての工事を工期内に無事故・無災害で完了する事ができました。
 関係者の皆様には、この場をお借りして感謝致します。



写真-23 後施工せん断補強鉄筋工施工完了(部屋)



写真-24 後施工せん断補強鉄筋工施工完了(ピット通路部)