No.49 超大口径管推進工法(大土被り・高水圧地盤)

 1.はじめに

 当工事は内径4000mmの超大口径管を大土被り、高水圧下で推進したものです。
 超大口径推進管とは内径3000mmを超える推進工法用のコンクリート管のことで内径3000mmを超える推進管は現在、そのままでは道路交通法の規制から輸送ができません。
 それを二分割して運搬し、現場で簡単に組立て出来るようにしたため、3500〜5000mmの超大口径推進工事に対応できるようになりました。
 現場の組立にはコッター(くさび)による接合とPC鋼線による緊張方式があり、外圧強度や止水性を確保しています。当工事はコッター継手で接合した推進管を使用しました。
 超大口径推進工法はシールド工法と比較すると工期が短く、施工延長が短い場合は特に経済的に有利となります。この工事は土被りが30mを超えた高水圧地盤での推進工事で、特に発進部と到達部での綿密な計画が必要となりました。

 2.工事概要

 本工事は、東京都下水道西日暮里幹線と西日暮里系ポンプ棟を接続するため超大口径管推進工法により西日暮里立坑から西日暮里系ポンプ棟地階へ管路を敷設したものです。

工事名 東尾久浄化センター西日暮里幹線流入渠建設工事
発注者 東京都下水道局 第一基幹施設再構築事務所
請負者 若築建設
工期 平成24年4月〜平成25年1月(推進期間は10月8日〜11月7日)
施工場所 東京都荒川区東尾久7-2(東尾久浄化センター内)
工法 超大口径管土圧式推進工法
管径 呼び径4000
土質 礫質土
施工延長(1スパン)32.3m
推進管種 2分割組立式 RC2種
有効長 2.3m
重量 23.8t/本
土被り 29.8m
自然地下水位 GL-1.2m (管中心高で約0.3MPaの自然水圧)

 3.施工計画(高水圧対策)

 高水圧下の推進工事では、推進管据付時のバッキング防止と坑口ゴムパッキンの捲れ防止対策が必要となります。
 今回は間接的な対策として、管路部にダブルパッカー工法により遮水壁を造成しその内側をディープウェル工法により地下水位を下げる方法が取られました。(図-1.2)
 直接的なバッキング対策は、推進管製作時に埋め込まれたアンカーにブラケット金具を取付け支圧壁に山留材で支持する方法を採用し(写真-2)、坑口ゴムパッキンの捲れ対策は、ゴムパッキンと捲れ防止鉄板をL型とし、さらにパッキン裏側には土砂による膨らみ防止の目的でスポンジ状の間詰材を接着しました。



図-1 遮水壁・ディープウェル平面図

図-1 遮水壁・ディープウェル平面図



図-2 遮水壁縦断面図

図-2 遮水壁縦断面図



写真-1 円形立坑部の発進坑口の状況(管外径約5m用)切削部はSEW工法で施工されている

写真-1 円形立坑部の発進坑口の状況(管外径約5m用)切削部はSEW工法で施工されている



写真-2 地下水圧によるバッキング防止装置

写真-2 地下水圧によるバッキング防止装置

 4.施工

@発進部(*SEW工法)と到達部(*NOMST工法)の既設仮壁の切削
 本工事の発進部と到達部には、高水圧・大断面での鏡切り工を回避するため、鉄筋コンクリートではなく掘進機で切削可能な、特殊な補強材を使用したコンクリートの仮壁を設けました。(写真-1発進部)
 その推進切削には、掘進機の方向修正ジャッキを使用し、微速回路のインバーター制御により、5mm/分以下のジャッキスピードで掘進できるようにしました。
 実際の切削状況は、平均推進速度1mm/分以下でカッタトルクも常に上限値付近での掘進となりました。
 また、カッタと仮壁の切削摩擦熱が発生し、掘進機駆動部付近と排土された泥土がかなり高温になったことから仮壁コンクリートの強度・補強材の配合と、掘進機の切削能力のバランスが求められることがわかりました。

 *NOMST工法 : シールド機が土留め壁に通過する部分に、炭素繊維を混入した石灰石粗骨材を使用した高強度コンクリートを使用した工法
 *SEW工法   : NOMST工法と同じように、硬質発泡ウレタン樹脂をガラス長繊維で強化した部材をシールド機通過部に使用した工法

A推進施工
 通常部の掘進では、当初排土状況が安定しませんでしたが、添加材の配合・注入率を様々試行した結果、推進速度10〜20mm/分程度で高水圧による墳発を起こすことなく掘進できました。

B推進力
 計画推進力は15,000kN(先端抵抗11,200kN)程度と算定していましたが、推進長L=17m付近までは5,000〜6,000kNで推移し、先端抵抗は5,000kN程度と想定されました。
 推進長L=20m付近から急激に推進力が上昇し、L=26mで10,000kNまで上昇しました。これは、管周面抵抗値で考えると13.3kN/m2となります。この推進力上昇の原因は、発進立坑はケーソン工法で施工されており、また到達側のポンプ棟も大規模なケーソン工法で施工されていたのでその周辺地盤の緩みが原因と考えられました。さらに当工事で採用されたディープウェルの地下水位の低下の影響で推進管に想定以上の土圧がかかったことも推進力上昇の要因と考えられました。

C到達工(鏡切り)
 到達はNOMST壁断面内での推進完了となり、残りの仮壁断面は人力で壊す計画にしましたが、この開放時に異常出水の恐れがありました。ただ結果的には掘進機内にあらかじめ取付けられた複数の注入孔からの裏込注入と薬液注入等の事前対策で、問題なく貫通し到達できました。



写真-3 泥土圧式掘進機(φ4000mm)

写真-3 泥土圧式掘進機(φ4000mm)



写真-4 元押設備(16,000kN装備)

写真-4 元押設備(16,000kN装備)



写真-5 掘進機分割吊下し状況(カッタ駆動装置 重さ30t)

写真-5 掘進機分割吊下し状況(カッタ駆動装置 重さ30t)



写真-6 推進管吊下し状況(地上組み立て後)

写真-6 推進管吊下し状況(地上組み立て後)



写真-7 推進状況

写真-7 推進状況



写真-8 排土状況

写真-8 排土状況

 5.最後に

 本工事は大土被り・高水圧下での超大口径管推進という難易度の高い工事でしたが、発注者、元請等関係各位の御指導をいただき、当社の過去の複数の超大口径推進・大深度推進工法の実績も活かして、綿密な計画を行った結果、無事故で精度よく竣工できました。
 本工事で得られた新たな課題に対応し、今後の超大口径管推進工法の品質向上に貢献していきたいと思います。