No.26 JH高松IC橋工事

担当部所−土木本部PC工事部
担当者−長澤正英

 1.はじめに
四国の高速道路は、昭和60年に30kmほどの区間で部分開通して以来、高松−高知間と徳島−松山間で建設が行われてきて、平成12年3月には四国4県の県庁所在地がすべて高速道路で結ばれた。徳島から松山、大洲へ東西に走り抜ける四国縦貫道と、 高松から高知へ四国山脈を南北に横断するS字型の四国横断自動車道の2本の線で形成される四国高速道路は、地図で見るとちょうどXの文字に見えることから、エックスハイウェイと呼ばれている。
 四国高速道路の事業計画は、平成13年春までに高松中央IC−板野IC区間の開通、平成15年度には高松西IC−高松中央IC区間、板野IC−鳴戸ジャンクション間の開通を目指している。平成16年以降は鳴戸−徳島区間と高知(中村)−大洲区間を連結し、 エックスから∞へをキャッチフレーズに8の字のループ型高速道路を目指している。
 香川県内の高速道路は、平成13年春の開通を目指す高松中央IC−徳島県境区間と平成15年開通を目指す高松西−高松中央IC区間の2箇所で急ピッチの建設工事が展開されている。日本道路公団四国支社高松工事事務所では、 高松西−津田区間を「ロマンと碧のハイウェイ」、津田−徳島県境区間を「よみがえる南海道」 と名付けて全国PRを行っている。 碧は、県の緑、青鬼伝説、瀬戸内海をイメージしたもので、南海道は、平安の昔に源義経が平家討伐のために駆け抜けたと伝えられる大坂峠越えの旧南海道(讃岐から阿波への巡行ルート)に沿って高速道路が建設されることから採用された。
 高松中央ICランプ橋(PC上部工)工事は、四国高速道路の玄関口として計画されている高松中央インターチェンジと四国横断自動車道本線とを結ぶ急曲線PRC橋6橋と本線の一部、 県排出路の合計8橋を場所打ち工法により施工する工事で、平成10年3月に受注し、平成12年8月29日に竣工検査を受け、完工した。


 2.工事概要

全 橋 長  604.1m 
橋  数  佐古高架橋、A・B・C5〜8・C8〜12・C12〜15・D・E各ランプ橋の全8橋
径 間 数  23
有効幅員  6.6〜25.8m
施工場所  香川県高松市林町
発 注 者  日本道路公団四国支社
工  期  平成10年3月21日 〜 平成12年8月16日
施  工  機動建設工業(株)・新日本コンクリート(株)共同企業体
延労働時間 約140,000時間
事故件数  労働災害−0件  交通事故−0件  第3者事故−0件

 3.施工概要
 本工事の施工条件としては、
  • 四国の中で最も交通量の多い国道11号線高松東バイパスの中での工事であること  
  • 市街地対応での安全管理、地元対応が求められること  
  • 四国の玄関口として品質とともに美観が要求されること  
  • 要人の来訪、マスコミによる取材等があること  
  • 地元住民や学校の見学があること

 である。

 工事そのものには急曲線PRC橋ということ以外特筆することのない普通の工事であったが、施工条件をクリアする毎に大変な勉強をさせられた現場であった。
 工事を管理するJH高松工事事務所所長は、JHと施工業者とが一体になって施工問題点を解決し、全区間に水平展開していくシステムを採られていた。本工事でも様々な問題が発生し対策を講じてきたが、それらの多くは当社の技術向上にも役立つものであった。
 JH所長が常々話されていたことに、 

「橋梁工事を進めていく上で大事なこととして、技術者は橋のことを考えるのではなく、完成後の橋がどのように引き継がれて道路として完成するのか、 道路としてどのように機能していくのかをまず考える必要がある、橋を造っているのではなく道路を造っているんだということを常に考えて対策を立てないと良い橋はできない」

という言葉があった。なるほどと思う言葉である。
 道路として考えればどの部分が大切でどの部分は機能さえ満たしていればよいというのが見えてくる。例えば、橋が最初に壊れる部分は桁端部であり、伸縮部や緊張切り欠き部の鉄筋については投入量や被りを十分に検討して剥落しない品質を確保する必要がある。 が、本体部分は鉄筋被りさえしっかりと確保しておけばジャンカでも作らない限り半永久的に壊れることはない。これが判っていれば桁端施工を慎重に行うことによって長持ちのする橋を造ることができる。
 また、市街地における「美観ありて構造物ありき」の観点から、特有の問題も発生した。JH所長からは、

「排水計画を先に行って   排水管形状 → 排水位置 → 排水桝  の位置の順で計画を進めれば、橋面上の排水をどのように行えばよいか高欄形状や舗装機能の計画にまで及んで楽に計画を立てることができる。 床版形状や高欄形状、橋脚形状などを先に決めてしまうと良い橋は造れない。橋脚の太さが足りない、下がりコンクリートが大きすぎる、排水管の位置が悪い、目立つ、と言った具合に次々と問題点が噴出する」

と、山岳地帯での橋梁ならほとんどが問題にならないことであったが、本工事ではこのような問題点を一つ一つ吟味し消化し、資料化し、水平展開を行った。

高松IC橋 全体図

「ロマンと碧のハイウェイ」で最初に出来上がった橋梁がAランプ橋である。ある安全パトロールのときにJH所長と橋面の突端まで上がったとき、足元には高松中央ICの全景が、東には本線上に2台の大型移動支保工が、西には延々と続く橋脚の帯を見渡すことができた。 また、歴史の舞台屋島半島や遠く大坂峠に続く山並みも見渡すことができる絶好の場所であった。結局Aランプの突端には見学台を設置し、多くの要人や見学者を迎える場所となった。 工事関係者をはじめ、様々な人々が来訪され、地元の大学生、高専生が現場を訪れた際には、橋梁の種類や分類、施工方法等の説明を行った。高松IC内にはPRC中空床版ラーメン橋の他、RC中空床版橋、ボックス桁橋、PC単純桁橋があり、 本線には鋼橋混合橋を望むことができたので、橋の見学には最高の場所だった。施工方法も、場所打ち工法、張り出し工法、移動支保工、ベント架設などを市内区間だけで見ることができ、これらの工事の概要説明を行なった。

 4.現場施工
本工事で施工した橋梁は本線佐古高架橋が台形である以外はすべて曲線橋となっており、中でもCランプP12〜P15橋では曲線半径30mの急曲線となっている。その他の橋梁も半径40m〜50mの曲線となっており、クロソイドが入っている。 これらの基礎地盤、支保工位置、型枠位置等はすべてレーザーセオドライトを使用してのトラバース測量で1点1点を座標で追い込み決めていったものであり、現場職員はほとんど毎日測量で現場に張り付いて管理を進めた。 しかも橋梁形状が美観を考慮して傾斜を入れたものとなっており、支保工位置がずれて型枠を起こしたりすると水平位置もずれてしまうため、同じ測量を数回繰り返さなければならないことがしばしば発生した。 そんな中で、コールドジョイントやジャンカの防止の管理、排水桝などの美観上の管理を同じ職員で行って、測量誤差を2〜3mm以下の範囲でやり通せたことは、若手職員の自信にもなったのではないかと思う。
 また、コンクリ−トの表面も斑が少なくきれいに出来上がっており、施主側の工事担当の方からもまずまずの評価をいただくことができた。


 5.最後に
今回の現場は施工管理や地元住民への対応など、非常に厳しい条件があり、大変苦しい現場であった。しかし、技術的にも管理的にもいろいろな勉強ができ、得るものが大きい現場であったと感じている。良かった点をこれからの工事にも反映し、反省点については修正をして今後に生かしていきたいと思っています。

関連ページ 施工実績;高松中央ICランプ橋(PC上部工)工事