No.225 「アルティミット工法泥水式掘削管理システム」について

技術部 磯 圭伺

 1.はじめに

泥水式推進工法を施工管理するに当たり、掘削量管理をいかに行うかが重要な項目の一つとなります。 しかし、現在市場に出ている排土管理装置は、流量計と密度計を使用しコンピュータにより演算処理を行うもので、実績のある方法ではあるが非常に高価なため、一部の工事に採用されているにとどまっています。
 今回、当社で製作した掘削管理システムは、流量計を使用し、単位時間当たりの送・排泥量差を演算することにより掘削土量(土量率%)を算出し、液晶画面にグラフ表示を行う方法を取りました。 この計測・演算した掘削土量(土量率%)の変化を掘進機のオペレータが確認しながら推進していくことにより、より安定した管理が行えると考えます。

 2.掘削管理システムの概要

2-1 機器の構成
使用機器
a.流量計
横河電気(YM100)型電磁流量計
(パルス信号出力のある機種)
b.ジャツキストロークセンサ
武藤 DL07リニアエンコーダ
(パルス信号出力のある機種)
c.管理システム
計測の概要
送・排泥量の差を排土量として換算します。
計画泥掘削量は掘進機外径(余掘を考慮した)による体積とします。

土量率の演算式 土量率の演算式

  • V :単位距離の積算送・排泥量差と計画掘削量の割合(%)
  • Q1:単位時間当たりの積算排泥量(m3
  • Q2:単位時間当たりの積算送泥量(m3
  • D :推進管外径(m)
  • a :オーバーカット量(m)
  • L :単位時間に進んだ距離(m)

計測は、単位時間毎に表示記録する方法とします。 単位時間(1min〜5min設定)の推進距離をストロークセンサにより読みとり、この間の計測・換算した送泥と排泥との土量差と計画掘削土量の割合を土量率(V%)として液晶画面にグラフとして表示します。

2-2 掘削管理システムの内容
 今回製作した管理システムは、操作が簡単、コンパクト、多機能を実現しています。機能面に於いては、掘削土量の管理グラフと、推力のグラフが同時に表示できるようにし、時間、排泥量、送泥量、単位時間当たりの推進距離、 土量率、切羽水圧、推進力、先端抵抗力(修正ジャッキ圧)の8項目を記録できるようにしました。

泥水式掘削管理システム
泥水式掘削管理システム
(寸法 B400×H400×T300)
操作は全てタッチパネルによる

 3.システムの入力表示

実施使用に際しては、各センサと掘削管理システムを付属のケーブルを使用して接続を行った後、掘削管理システムのデータ入力を行います。

操作画面 パラメーター設定画面
操作画面 パラメーター設定画面
データ設定画面 操作画面
データ設定画面 操作画面
データクリア画面 管理グラフ表示画面
データクリア画面 管理グラフ表示画面
上記の六画面から構成されています。

 4.データの管理グラフ表示と記録

本掘削管理システムは、推進中は管理グラフ画面が表示されます。また、前記8項目のデータを記録することができます。 データは、シーケンサ内のCPUに書き込まれ保存されます。 現在は、8項目の管データを1本当たり25ポイントで、推進管465本分保存する能力を持っていますので、 後日必要な項目を取り出し帳票やグラフを作成することが可能です。

帳票例
帳票例
管理グラフ表示例
管理グラフ表示例

 5.現場での実証と今後の検討事項

アルティミット泥水式掘削管理システム(一号機)を製作して、福岡事務所管内の「筑後川工事」、「海の中道工事」において使用しました。 両工事の計測では土質が違ったにもかかわらず比較的安定した結果が得られ、アルティミット工法泥水式の掘削管理システムとして充分活用できることを確信しました。
 「海の中道工事」に於ける排土量率は、80〜90%で、土質の変化により若干の変動がありますが安定しています。 「筑後川工事」では70〜80%でした。排土量率の差は土質の相違によるものと考えられますが、使用現場がふたつ目であり確定はできません。 しかし、閉塞や推進速度の大幅な変化があった場合は排土量率が大きく変化することから、取り込みの変動が発生すれば必ず管理グラフに大きくあらわれる事になります。
 本システムはコンパクトで、使用方法も簡単で、掘進機オペレータが充分扱えることもわかりました。 データを回収し管理帳票、グラフ等を表計算ソフトで比較的簡単に作成できます。
 掘削管理システムとして管理項目の追加とそのデータ保存方法(カッタートルク等々)、および周辺機器との統一化などの改良点がありますが、システムの改良を重ねることによりアルティミット工法泥水式掘削管理システムとして充分な成果を発揮できるものと考えます。