No.197 「ステーション工法の開発」−その1−
 「第9回非開削技術研究発表会」の報告について

開発部 伊藤 彰

 1.はじめに
シールド工法や推進工法では、推進機等を吊り降ろし地中に発進させたり、推進終了後には掘進機を解体して吊り上げたり、トンネル構築中における掘削土砂の救出、資材及び諸機械の搬出入、作業員の昇降等のための発進、到達立抗の構築が、必要不可欠な要件となっている(図−1参照)。
 一般に、地中敷設される公共的な管路は、道路下に構築することを原則としており、地下埋設物、交通状況、沿線の環境等が調査されて、発信基地や到達基地の位置が決定されている。
 特に、大都市圏における工事ほど都市活動等を阻害しないための諸条件が厳しく、道路内での立坑及び作業基地の確保が厳しくなってきている。
 さらに、工事の規模が大きいシールド工事や長距離の推進工事では、工事期間が長くなり、道路内に構築された立坑や作業基地が長期間にわたって道路を占有し、交通障害を起こし都市活動を阻害することがある。
 今回は、管路敷設のための発進、到達基地を路面に設けず、道路下に構築し、シールド工事や推進工事が実施できるステーション工法の構成を紹介し、管路敷設工事における各工法の社会的費用を算出し、工事費を含め比較したものを報告する。
 さらに、工事の規模が大きいシールド工事や長距離の推進工事では、工事期間が長くなり、道路内に構築された立坑や作業基地が長期間にわたって道路を占有し、交通障害を起こし都市活動を阻害することがある。
 今回は、管路敷設のための発進、到達基地を路面に設けず、道路下に構築し、シールド工事や推進工事が実施できるステーション工法の構成を紹介し、管路敷設工事における各工法の社会的費用を算出し、工事費を含め比較したものを報告する。
  1. 出願年度別分類
  2. 出願人の分類
  3. 旧管の撤去方法分類
  4. 新設管の管径分類
  5. 旧管の処分方法分類
図−1 推進工事発進立杭概要図

 2.ステーション工法の概要

本工法の概要を図−2に示す。管路敷設が計画される道路下に発信基地や到達基地を構築するために、道路沿いの空地を利用して、ステーション用立坑(以下、立坑)及び作業基地のスペースを確保し、この立坑より、管路計画位置に向かって、発信基地や、到達基地となるステーション用横坑(以下、横坑)が構築される。横坑の延長は、横坑の先端部分で管路敷設のためのシールド施工や推進施工が行える位置まで計画され、構築される。
 横坑の形状は、シールド工事や推進工事の作業性を考慮して、効率の良い矩形断面が原則として採用される。

図−2 ステーション工法概要図
図−2 ステーション工法概要図

 3.ステーション工法の構成

本工法は、横坑と立坑とにより構成され、立抗としては、掘進機や推進管、セグメントを吊り降ろし、横坑内に取り込んで発進作業を行うための発進立坑と、掘進機等を横坑内から取り出し、回収するための到達立坑とに区分される。

3−1.ステーション用横抗

横坑の大きさは、敷設される管渠断面の大きさや形状、管路延長、立坑の使用目的(発進か到達)によって、断面寸法が検討され、決定される。
 発進横坑としては、シールド工事では増進機及びセグメントの搬入、掘進機の発進設備等のスペース確保を必要とする。また、推進工事においても、掘進機及び推進管の搬入、掘進機及び推進管の発進設備のスペース確保が必要となる。(図−3参照)。推進機は、管長を長くすれば、接続等の作業が少なくて済み効率的であるが、発進横坑の幅や発進立坑の幅を大きく計画しなければならず、経済性や立地条件等を十分に検討して決定することが重要である。
 到達横坑としては、掘進機の回収が行えるスペースの確保が必要である。到達立坑の立地条件等で掘進機全長の幅が確保できない場合には、掘進機の分割を事前に検討して対処する。
 横坑の構造は、コンクリート構造や鋼構造で、前記諸条件を考慮して検討され、施工性や経済性を含めて決定される。一般に、断面形状が比較的小さい場合には、鉄筋コンクリート構造のものが経済的であり、大断面になると、PCコンクリート構造や鋼構造が施工性等で有利となってくる。
 横坑の製作は、工場製作と現地製作があり、横坑断面及び延長、現地の立地条件、運搬ルート等を検討して決められる。工場製作される小断面の横坑の場合には、一般に推進方向に一定の長さで製作し、分離して運搬し、現地にて再び接合して一体化する方法が採られる。接合方法としては、コンクリート構造ではPC鋼材による緊結方法が用いられ、鋼構造では溶接による接合方法が用いられる。大断面の横坑の場合には、さらに断面を細分化して部材毎に製作することとなり、現地での組立が複雑となる。現地での立地条件が合えば、立坑内で横坑を製作する方法を採用することで、運搬や組立の作業が不用となり、有利である。
 横坑の推進施工は、管路敷設位置までの地中内で押し止めとなることから、基本的には、切羽部を開口した方式が採用される。横坑の先端には、貫入抵抗の軽減と切羽破壊防止のために、開口部を小断面に区分する棚付刃口が装備される。
 通常、到達横坑に比べて発進横坑の方が、横坑内に推進設備等を設置する関係で大断面となる。

図−3 発進ステーション概要図 図−4 発進ステーション概要図
図−3 発進ステーション概要図
図−4 発進ステーション概要図

3−2.ステーション用立抗

立坑には、発進立坑と到達立坑があり、横坑の大ささによって、形状や断面寸法が決定される。
 立坑の構築は、土質条件、立地条件、掘削深さ等を調査・検討して、鋼矢板方式や連続地中壁方式等の最善の土止方法が選定され、構築される。立坑には、横坑を所定の位置まで推進埋設するための推進設備が必要となる。土質条件や推進延長、横坑の形状から事前に推進力が算出されて、それに相当するジャッキや設備が準備される。(図−4参照)
 立坑の断面は、発進横坑と到達横坑の断面が異なるために、それぞれの横坑の発進施工が可能な大きさで構築される。

3−3.補助工法

横坑の推進施工は、原則として切羽部を開放した状態での推進方法を採用しているため、土質条件の悪い地盤や大断面の横坑の場合には、切羽面の破壊防止のための地盤改良や、上部地盤の異動や沈下防止のため、弊社が開発したデスリップカーテン工法等の補助工法やパイプルーフ工法等の検討を必要とする。

3−4.ステーション用横坑内設備

横坑からのシールド工事や推進工事は、原則的に横坑内部での発進、到達施工になる。そのために、立坑から発進、到達施工になる。そのために、立坑から発進、到達抗口までの区間に、掘進機及び、セグメントまたは推進管を運搬する設備が必要になる。さらに、推進工事の場合には元押しジャッキの運搬設備も必要となる。クレーンを使用した運搬設備は、安全で効率的な運搬、据え付けが行えるが、横坑内にクレーン設備を設置し、掘進機及び、セグメントまたは推進管を吊り上げるためのスペースが必要となる為、横坑の高さが大きくなり、クレーン設置のために横坑の制作費用が高価になるという問題がある。本工法では、立坑から発進、到達位置までレールを設置し、そこに移動機能を備えた運搬設備を設ける方式を主に採用する。
 図−5に、管路敷設を推進工事で行う場合の発進横坑内概略図を示す。

3−5.ステーション工法の特徴

ステーション工法の特徴は、下記の通りである。

  1. 管路を敷設する道路上に工事基地を一切設けないため、車両や歩行者の通行等に支障 を与えることがなく、第三者事故の危険性も低い。
  2. 道路内に立坑等を構築しないため、道路舗装の撤去、復旧工事、既設配管の移設工事もなく、それによる産業廃棄物の発生や、工事による騒音・振動もない無公害の工法である。
  3. 推進設備がほとんど横抗内に設置されるため、工事による近隣への影響が少ない。
図−5 ステーション用発進横坑概略図
図−5 ステーション用発進横坑概略図

<参考文献>
1. Ranier Kolator:管路建設における社会的費用の構成要素に含まれる価格選定法の準備
NO−DIG 98 8−11JUNE
2. 石崎 他:工事中の道路の交通制限による車両の遅れ時間と経済損失についての検証
土木学会第50回年次学術講演会 講演概要集(W−19)
3. 横山 他:SP調査手法を用いた道路交通騒音の社会的費用に関する研究
土木学会第53回年次学術講演会 講演概要集(W−264)
4. 道路周辺の交通騒音状況−9沿道交通騒音状況研究会監修
5. 道路環境影響評価要覧  建設省道路局企画課道路環境対策室監修