No.11 特環下水道(沈埋)工事

担当部所−京都事務所
担 当 者−安田 卓司
工 事 名: 特環下水道  下八木地内  第1工区枝線管渠工事
工事内容: 管路布設工(開削工)φ200VU×1,504.76m
  圧送管布設(開削工)φ100DCIP×851.120m
その他一式

今回報告する工事は、当社大津営業所によって秦荘町より受注した元請工事です。 この工事は、当初契約内容のままで完了しておれば、何ら報告に値するべきものは無いのですが、途中の設計変更によって採用された 沈埋工法は、私の所属する京都事務所では初めての工法であり、以下、経緯と沈埋工法について報告いたします。
 当工事は、当初、全スパンが開削工法で設計されておりましたが、掘削深が最大4.5m、 地下水位がGL−1.2mで水量も場所によってはかなり多量で、開削工法では限界を超えるケースが予想され、 工事着手時から設計変更を睨んだ動きをとっておりました。そして、早期の内に問題の最探区間に着手したところ、 予想通り地山の崩壊が著しく、掘削は困難を極めたため、役所と設計変更の協議をおこない、 最終的に沈埋工法を採用することになりました。
 さて、ご存知ない方のために沈埋工法について簡単に説明をします。沈埋工法は開削工法の変形とも言える施工方法であり、 推進工事に於ける泥水工法のような土圧バランスの考え方を基本とする安定液掘削工法で、安定液(専用泥水) を充満させてトレンチを掘削し、鋼材等を併用して連結固定した管体や人孔を液中に沈めて、 セメント及び急結材を混入して安定液を固化させることによって管体の布設を完了するという工法です。 設計変更の協議に於ては、比較工法として、

  1. 鋼矢板打設
  2. 連続地中杭
  3. 薬液注入
  4. ウェルポイント
  5. 推進工法
  6. 沈埋工法   等について検討しました。

まず、当社が進言すべき5.推進工法は、道路幅員の限界から立坑築造が困難なことと、取付管の問題から却下、 4.ウェルポイントは、隣接家屋及び土質(砂礫)の問題から却下、3.薬液注入も隣接家屋及び確実性の問題から却下となり、 残る1.2.6の各工法にて概算見積をおこない、経済比較をすることとなりました。その結果、2.連続地中杭は、 他工法に比べて極端に高いため却下となり、該当区間の開削工事分を減額できる6.沈埋工法が確実に有利で、 条件次第で1.鋼矢板打設は更に有利となる可能性があるとの結論に達しましたが、1.鋼矢板打設は不確定要素も多く、 諸序の条件から6.沈埋工法を採用することで合意しました。
 ところが、合意はしたものの、秦荘町には沈埋工法の実績はなく、設計書の雛形を作成してほしいとの要望が出されました。 早速この工法の専用実施権を有するライト工業に資料を要請し、当該区間について作成にかかりました。秦荘町の要望に合わせるため、 ほとんどゼロからの作成となりましたが、当方で作成した雛形とほとんど変わらない設計書を渡されたときには驚きました。 これは、施主が当社を信頼し、認めてくれていたものと解釈しております。
 沈埋工事自体は、何らトラブルもなく順調に進捗し、無事、工期内で全工事が完了しました。沈埋工法に対する感想としては、 施工速度も以外に速く、精度もレベルや管の通りに関しては問題ないようです。但し管芯と人孔芯の取り合いは、 ある意味、勘が頼りとならざるを得ず、この点は事前の協議や同意が必要です。また工法自体は結構なものだと思いますが、 現在のところ、ライバル工法がなく、採用に当たっては施工範囲、コスト等に注意が必要であろうかと思います。例えば、 沈埋工に伴って必要なガイドウォール築造・撤去は通常の受注範囲外となりますが、これが意外に手間と費用を要します。
 最後に、今回の設計変更に於いて当社を全面的に信頼し、柔軟かつ迅速に対応して頂いた秦荘町下水道課の皆様や、 多数の関係者の方々に深く感謝致します。